2025 年 28 巻 1 号 p. 44-45
【背景】乳がんの対策型検診ではマンモグラフィが広く普及している.一方,任意型検診としては乳房超音波検査(US)や,近年では新たなモダリティである乳房専用PET(dedicated breast PET; dbPET)を用いた検診も実施されている.しかしながら,健常女性を対象とした乳がんスクリーニングでのdbPETの診断成績については十分に検証されていない.
【目的】健常女性を対象とした乳がん検診におけるdbPETの診断成績を,デジタルマンモグラフィ+デジタル乳房トモシンセシス(DM-DBT)および乳房超音波(US)と比較して検証した.また診断成績の経年変化も調べた.
【方法・対象】2016年6月から2020年12月の4年半の期間に,京都大学先制医療センターで実施されたがん検診において全身用PET/CT ,dbPET,DM-DBTおよびUSの全検査を受検し,病理組織学的検査あるいは1年以上の経過観察によって最終結果を得た女性1,083人,のべ2,156検査を解析対象とした.
【結果】dbPETの検出感度はDM-DBTやUSより低く,特に非浸潤性乳管癌(DCIS)に対しては特に低かったが,有意差は認めなかった.一方で浸潤癌に限ればDM-DBTやUSと同等の成績であった.特異度はdbPETとDM-DBTでほぼ同等であり,dbPETでは年々改善して最終的にはDM-DBTよりも有意に高くなった.全体としてdbPETの乳がん診断能はDM-DBTやUSに比して明らかな優位性を認めなかったが,浸潤癌においては他のモダリティと同等の高い感度を持つことが示された.
【結論】dbPET検査が乳癌スクリーニング法として実用的なモダリティであることを明らかにした.