鉄と鋼
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論文
HSV色空間を適用した画像解析による鋼上に形成した錆の同定
石井 碩生坂入 正敏
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2024 年 110 巻 15 号 p. 1216-1224

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Abstract

Corrosion products formed on steel in various environments were identified with image analysis, Raman spectroscopy, and X-ray diffraction (XRD). The results of Raman spectroscopy showed that γ-FeOOH exhibits bright yellow color and β-FeOOH exhibits gray color. Main corrosion products composition formed on the steels by XRD analysis was γ-FeOOH. Using proper threshold of HSV color space, makes it possible to identify corrosion products formed on steel. Comparison of corrosiveness of exposed environments and formed corrosion products, α-FeOOH is preferentially formed in mild corrosive environments, while β-FeOOH was formed in severe corrosive environments.

1. 緒言

道路や橋などの社会インフラの多くは,日本の高度経済成長期に建設されて以来,物と人の流れを支え,人々の生活を豊かにしてきた。建設後50年以上を経過しているため,老朽化により人々の生活の安全を脅かすものがあり,深刻な課題となっている1)。高経年化した社会インフラを今後も安全に使用し続けるためには,修繕や再建築とその後の適切な維持管理を実施する必要があり,そのコストは膨大である。また,インフラの7割は地方公共団体によって維持・管理されている1)ため,適切な維持管理の実現には経済的な問題がある。さらに,経験豊富な土木技術者達の高齢化により,人的資源の不足も問題となっている。今後,インフラの高経年化が進むに従って,益々,効率的・経済的な維持管理が必要となる。そのために,客観的かつ定量的で低コストな腐食診断技術が必要となる。

一方,近年の情報処理技術の進歩により,AIや機械学習が様々な分野で利用されている。インフラの維持管理にこれらの技術を適用し,画像から腐食状況を診断できると,上記に示す課題を解決できる可能性があり,様々な研究が行われている。特に,コンクリートのひび割れに関する研究2,3,4)やドローンを用いる橋梁の損傷検出5,6,7)に関する研究は成果をあげ,実際の現場への実装が進められている。しかし,橋梁の建設などに使用される鋼材料の腐食に関する研究は,鋼材の健全度が使用される腐食環境に大きく依存するために,現場への適用に多くの課題が残されている。

鋼材料は,大気環境中で腐食すると鉄の腐食生成物いわゆる鉄錆が生成するとされている。これらの鉄錆に関する研究は,ラマン分光分析8,9,10)およびXPS, SEM-EDS11,12,13), XRD14,15)など多岐に渡って行われている。数多くの研究は,4種類の腐食生成物α-FeOOH(Goethite),γ-FeOOH (Lepidocrocite),β-FeOOH (Akaganeite),Fe3O4 (Magnetite)が主に鉄錆として生成すると報告している。4種類の鉄錆は,その種類によって結晶の熱力学的安定性や色,生成する環境などが異なり,それぞれの生成物が腐食に及ぼす影響もまた異なる。Misawaら16,17,18)は耐候性鋼の安定錆層に関する研究において,α-FeOOHは長年をかけてγ-FeOOHから変態し,鋼表面に保護性のある錆層を形成することで,鋼材の腐食を抑制する働きがあると報告している。また,β-FeOOHが多く存在する環境は腐食環境が厳しいと報告している。

画像から鋼の腐食生成物の種類を簡便に同定でき,生成物の種類と鋼材の健全度との関係を見いだせれば,画像解析が維持管理の現場に実装できる可能性がある。そこで本研究の目的を,実験室における乾湿繰り返し腐食試験にて形成した錆と標準サンプルにより鋼に形成した腐食生成物を画像により同定するための閾値を決定すること,その閾値を用いて実環境曝露試験により形成した錆を同定することとする。

2. 実験方法

2・1 乾湿繰り返し試験

試料は,耐候性鋼を10×10×5 mmに切断して使用した。試料片表面をSiC耐水研磨紙にて#1500まで機械研磨した後,高純度水およびエタノールを用いて各300 s超音波洗浄を行った。前処理後,初期の溶液形状を制御するため,光硬化型の3Dプリンタを用いて作製した治具に試料を設置した。

腐食溶液には,1000 molm−3 NaClおよび100 molm−3 NaCl, 500 molm−3 MgCl2, 50 molm−3 MgCl2, 500 molm−3 ZnCl2, 50 molm−3 ZnCl2の塩化物イオン濃度と金属カチオンの異なる6種類を使用した。本研究で用いた水は全て高純度であり,使用した溶液のpHは6.0程度であった。

実験室における乾湿繰り返し試験は,恒温恒湿装置にて温度と湿度を制御しを行った。試験開始前に各溶液を10 µL試料に滴下した。試験条件は,乾燥(298 K, 35%RH)3 h,冷却と加湿 1 h,湿潤(283 K, 90%RH)3 h,昇温と除湿 1 hの8 hを1サイクルとした。試験時間は,4416 h (6ヶ月, 552サイクル)とした。なお,9サイクルおよび12サイクル毎(7 dで2回)に,10 µLの高純度水を滴下した。乾湿繰り返し試験後の試料表面を光学顕微鏡により観察して解析用の画像を撮影した。撮影の際は,ゲインを1.0,露光時間を60に固定した。乾湿繰り返し試験後の試料表面に生成した腐食生成物を分析するため,顕微ラマン分光分析を行った。測定には,波長532 nmの緑色レーザーを使用した。レーザー光によって腐食生成物が焦げることを防ぐために,レーザーの出力は0.1%,露光時間は300 s,積算回数は4回とした。

2・2 標準サンプルおよびβ-FeOOHの合成

鋼の錆として知られているα-FeOOH,γ-FeOOH,β-FeOOH,Fe3O4を標準サンプルとして準備した。α-FeOOH,γ-FeOOH,Fe3O4は試薬を購入し,β-FeOOHは以下の手順で合成した。

1)塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)を高純度水に溶かし,1 M FeCl3溶液を調整した。

2)調整した溶液を攪拌しながら,溶液温度が約100°Cになるように加熱し,水分を揮発させた。

3)水分が揮発した溶液を100°Cに設定した定温乾燥機に入れ,乾燥まで数日間静置した。

4)ゲル状の溶液は吸引濾過と洗浄を行い,濾過した物質を80°Cに設定した定温乾燥機に入れ,乾燥まで静置した。

上記の過程で合成したβ-FeOOHと4種類の標準サンプルを2・1と同様の条件で光学顕微鏡にて観察して画像を得た。

2・3 大気曝露試験

試料として,150×70×5 mmの炭素鋼板を使用した。曝露試験((一社)日本鉄鋼協会サステナブルシステム部会「インフラ劣化診断のためのデータサイエンス」研究会にて実施)は,宮古島と銚子の2箇所で行い,曝露期間を1.0年と2.0年とした。曝露方法は直接曝露と遮蔽曝露の2条件で行った。試験前後の質量差から,腐食量を算出した。

大気曝露試験後の試料表面を光学顕微鏡により観察し画像を得た。撮影の際は,ゲインを1.0,露光時間を150に固定し画像を撮影した。

大気曝露試験後の試料表面に生成した腐食生成物を分析するため,X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定は,平行ビーム光学系(2θ/θスキャン)で行い,X線としてCoKα線,管電圧40 kV,管電流135 mA,スキャン範囲5°–100°,スキャン速度4°/m,スキャンステップ0.1°とした。

2・4 画像解析を用いる錆の同定

画像解析技術を用いる大気曝露試験により形成した錆の同定は,次の手順で行った。

1)乾湿繰り返し試験後試料の観察画像および標準サンプルの観察画像にHSV色空間を適用し,腐食生成物を同定するための閾値を決定した。

2)大気曝露試験の観察画像に決定した閾値を適用し,腐食生成物の割合を算出した。

3)大気曝露試験後の試料のXRD定量分析結果と画像解析結果を比較した。

3. 結果および考察

3・1 乾湿繰り返し試験後試料の観察結果およびラマン分光分析

Fig.1に6ヶ月間の乾湿繰り返し試験を行った試料の光学顕微鏡観察結果を示す。塩化物イオン濃度1000 mol m−3で腐食させた試料を使用した塩で比較すると,色調の差が小さく,赤茶色の錆が多く見られる。一方,塩化物イオン濃度100 mol m−3で腐食させた試料を使用した塩で比較すると,色調に差が見られる。NaClで腐食させた試料は,色調が明るく,黄色の錆が多く見られる。MgCl2およびZnCl2で腐食させた試料は,色調が暗く,赤茶色や灰色の錆が多く見られる。これらの結果から,腐食環境によって生成する錆の色や割合が異なると推察される。

Fig. 1.

Optical microscope images of weathering steel after wet and dry corrosion tests under 1000 mol m−3 NaCl, 100 mol m−3 NaCl, 500 mol m−3 MgCl2, 50 mol m−3 MgCl2, 500 mol m−3 ZnCl2 and 50 mol m−3 ZnCl2. (Online version in color.)

これらの色の差異が生成した錆の組成によるものか確かめるために,ラマン分光分析により錆の同定を行った。Fig.2に黄色の錆や明るい赤色の錆の領域の結果を,Fig.3に暗い赤色の錆や灰色の錆の領域の結果を示す。Fig.2より,黄色の錆や明るい赤色の錆の領域からγ-FeOOHに対応するピークが観察される。Fig.3より,暗い赤色の錆や灰色の錆からγ-FeOOHとβ-FeOOHに対応するピークが観察される。他の様々な点に対しても分析を行った結果,実験室における乾湿繰り返し腐食試験により得られた錆はγ-FeOOHとβ-FeOOHの2種類であった。以上の結果から,鋼の腐食によって生成するγ-FeOOHの錆色はその腐食状況によって,明るい赤色や黄色を示し,β-FeOOHは暗い赤色や灰色を示すと考えられる。

Fig. 2.

Image for analysis area (upper panel, (a) – (c)) and Raman shift (lower panel) of bright areas on the sample after dry and wet cycling test. : In the Raman shift is peaks related to γ-FeOOH1,2,3,4). (Online version in color.)

Fig. 3.

Image for analysis area (upper panel, (a) – (c)) and Raman shift (lower panel) of dark areas on the sample after dry and wet cycling test. ▼: In the Raman shift is peaks related to γ-FeOOH1,2,3,4). ▽: In the Raman shift is peaks related to γ-FeOOH1,2,3,4). (Online version in color.)

3・2 標準サンプルによる閾値の決定

鉄錆標準サンプルの観察結果をFig.4に示す。標準状態において,α-FeOOHは明るい黄色である。γ-FeOOHとβ-FeOOHは褐色であるが,色合いが類似している。Fe3O4は黒色である。大気曝露試験試料に形成されたに鉄錆の組成割合を算出するためにHSV色空間に基づいて閾値を決定した。その結果をTable 1に示す。Hue値の同じであるγ-FeOOHとβ-FeOOHは,Value値により区別することとした。標準サンプルのValue値は,γ-FeOOHで大きく,β-FeOOH小さかったこと,大気曝露試料に形成した錆の組成をラマン分光で同定した領域と同じ領域の撮影画像から得られたValue値とを総合的に判断して,それぞれのValue値をγ-FeOOHで81-255,β-FeOOHで0-80とした。また,乾湿繰り返し試験にて生成を確認できなかったα-FeOOHとFe3O4は,標準サンプルの観察結果からHue値を変化させることとした。

Fig. 4.

Optical microscope images of iron rust standard samples. (Online version in color.)

Table 1. Threshold of HSV color space for image analysis of rust.

HueValue
α-FeOOH25-50100-255
γ-FeOOH0-2481-255
β-FeOOH0-240-80
Fe3O451-1800-255

3・3 大気曝露試験の観察と解析

Fig.5に大気曝露試験を行った試料の観察結果を示す。直接曝露試料と遮蔽曝露試料は色調に大きな差が見られる。直接曝露試料は,色調が明るく,赤色や黄色の錆の割合が多い。一方で,遮蔽曝露試料は灰色の錆の割合が多く,一部赤色や黄色の錆が存在する。また,曝露した期間に着目すると,曝露期間が長い試料は,錆粒子のサイズが大きくなる。

Fig. 5.

Optical microscope images of carbon steel after exposure tests, (a) 1 year and (b) 2 year. (Online version in color.)

Fig.6に宮古島で2年間の大気曝露試験を行った試料に,3・2で決定した閾値を適用して各組成の領域を抽出した結果を示す。直接曝露試料の各錆の領域として抽出された面積比は,α-FeOOH (10.1%),γ-FeOOH (54.9%),β-FeOOH(32.7%),Fe3O4 (2.3%)と求められ,γ-FeOOHの割合が最も多い。遮蔽曝露試料についての同様に求めた面積比は,α-FeOOH (16.1%),γ-FeOOH (27.7%),β-FeOOH (49.3%),Fe3O4 (6.9%)となり,β-FeOOHの割合が最も多い。

Fig. 6.

Rust classification of samples exposed for 2 year in Miyakojima, (a) Direct exposure and (b) Shield exposure. (Online version in color.)

Fig.7に全ての大気曝露試験後の試料に対して画像解析により各錆の面積比を求めた結果を示す。曝露期間に関係なく直接曝露試料においてγ-FeOOHの割合が多い。一方,遮蔽曝露試料においてβ-FeOOHの割合が多くなっている。また,遮蔽曝露試料は直接曝露試料に比べて,α-FeOOHの割合が多くなる。Fe3O4は全ての試験片において割合が低い。この理由として,大気中で生成されたFe3O4は天候や昼夜の繰り返しによって乾燥期に入ると,水や酸素と反応してFeOOHに酸化された可能性が挙げられる。この酸化反応が進行するとFe3O4がFeOOHに変化し,Fe3O4の存在割合が少なくなることになる。

Fig. 7.

Classification of corrosion products, (a) 1 year and (b) 2 year. (Miyako = Miyakojima) (Online version in color.)

3・4 画像解析結果とXRD定量分析結果との比較

Fig.8に大気曝露試験後の試料のXRD分析結果を示す。図より銚子で直接曝露を行った試料を除く試料において,α-FeOOHとγ-FeOOH,β-FeOOHの3種類の鉄錆を確認できる。銚子で直接曝露を行った試料において,γ-FeOOHとβ-FeOOHを確認できる。また,全ての試料にてX線が錆層を透過し,母材のα-Fe相に対応するピークも確認できる。

Fig. 8.

XRD analysis results of samples after exposure tests, (a) 1 year and (b) 2 year. Peak position is based on the leteratures5,6,7,8,9,10,11). (Online version in color.)

錆の同定後,Reference Intensity Ratio(RIR)定量分析を行い,各錆の割合を算出した。Fig.9Table 1の閾値を用いる画像解析とRIR定量分析によって得られた錆の割合を比較して示す。α-FeOOHに着目すると,二つの結果の間に最大で20%の差がある。α-FeOOHの結果に同定方法で差がでた理由として,乾湿繰り返し試験でα-FeOOHの生成を確認できなかったこと,α-FeOOHが錆層の内層に存在している可能性が高いことがあげられる。一方で,γ-FeOOHとβ-FeOOHの結果に着目すると,画像解析と定量分析の結果の差は小さく,画像解析とXRD定量分析の結果は良く一致している。

Fig. 9.

Comparison of image analysis (left bar) and XRD analysis (right bar), (a) 1 year and (b) 2 year. (Online version in color.)

そのため,HSV色空間に基づいた画像解析技術を適用することで,鋼に形成した錆の同定の可能性が示唆される。

3・5 画像解析結果に基づいた鋼の腐食評価

実験室で形成した錆と実曝露試験で形成した錆の画像解析を行った結果,HSV色空間に基づいて鋼上に形成した錆を同定できる可能性が示唆された。本研究で得られた錆の存在割合と腐食状況との関係を検討する。Table 2に1年間大気曝露試験を行った試料の腐食量とFig.7で示した画像解析により得られた錆の存在割合を示す。腐食量の結果より,直接曝露試料は遮蔽曝露試料と比較して腐食が激しい。また,宮古島は銚子と比較して腐食環境は厳しいことがわかる。

Table 2. Results of amount of corrosion and composition of corrosion products (%) formed on samples after one year exposure tests.

Exposure
location
Miyakojima
direct
Miyakojima
shield
Choshi
direct
Choshi
shield
Amount of corrosion g/m2611.9547.6344.1280
α-FeOOH2.99.62.422.8
γ-FeOOH77.527.394.339.1
β-FeOOH18.356.33.132.8s
Fe3O41.36.80.25.3

XRDの解析と画像解析のどちらでも同定された錆の存在割合の結果と腐食量との関係を検討する。まず,α-FeOOHの割合と腐食量の関係に着目する。腐食量の最も小さい試料は,α-FeOOHの割合が22.8%であり,腐食量の最も大きい試料は,2.9%であり,その差は20%ほどである。このことから,α-FeOOHの割合が高いと腐食量が小さい可能性が推察される。次にβ-FeOOHの割合と腐食量に着目する。直接曝露試料において,銚子で曝露した試料のβ-FeOOHの割合と腐食量は,どちらも宮古島と比較して小さい。遮蔽曝露試料においても同様でである。β-FeOOHの割合と腐食量の関係に着目すると,β-FeOOHの割合が多い鋼は,厳しい腐食環境に曝されていたと推定できる。

以上の結果は,画像解析技術を用いた鋼の錆の分類は鋼の腐食状態を推察できる有望な手段であることを示している。今後,さらに多くの試料や試験時間を延長することなどによりデータを蓄積することで,より高い精度で腐食状況を画像から推定できる可能性がある。

4. 結言

鉄酸化物の標準試料を用いてHSV色空間のHueとValueに関する閾値を決定し,それを用いて各種腐食試験で鋼上に形成した錆の同定を行った結果,次の結論を得た。

(1)乾湿繰り返し試験により耐候性鋼に錆を形成させた結果,腐食環境(溶液組成と濃度)によって生成する錆の色調(黄色,赤茶色,灰色)が変化した。形成した錆をラマン分光分析した結果,黄色や明るい赤色の錆はγ-FeOOH,暗い赤色や灰色の錆はβ-FeOOHである可能性が示唆された。

(2)大気曝露試験後の試料に閾値を適用して錆組成ごとの面積比を求めた結果,直接曝露試料ではγ-FeOOHの割合が高く,遮蔽曝露試料ではβ-FeOOHの割合が高いことが分かった。この結果は,XRDによるRIR定量分析の結果とほぼ一致した。HSV色空間による画像解析は,鋼に形成した錆の同定に適用可能であることを示した。

(3)大気曝露試験後の試料の炭素鋼に形成した錆を同定した結果,α-FeOOHの割合が多い試料は腐食量が小さいと推察された。一方で,β-FeOOHの割合が多い試料は,厳しいと腐食環境に曝されていたと推察された。

謝辞

本研究は,(一社)日本鉄鋼協会サステナブルシステム部会「インフラ劣化診断のためのデータサイエンス」研究会のなかで実施され,鋼材と大気曝露試験試料は研究会より提供されました。本研究のラマン分光分析は,北海道大学全学共同利用施設光電子分光分析研究室の共用装置を利用して実施しました。本研究のXRD分析は,北海道大学工学研究院高エネルギー超強力X線回折室の共用装置を利用して実施しました。

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