鉄と鋼
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3%珪素鉄単結晶の圧延組織と再結晶組織の形成
第2部再結晶組織
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1968 年 54 巻 2 号 p. 190-210

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抄録

結果はTable1にまとめて示した. この実験全体について明らかになった再結晶組織に共通した特徴は次のようである.
(1) 再結晶速度は初めの方位に依存し, 特にその圧延組織の型に関係づけられる.圧延圧力, 硬度が大きい程, 速度が大きい.
(2) 圧延率が低いときは, 再結晶組織は弱い多数の成分より成っている.圧延とともに成分の数は減少し, その強度は増加する.
(3) 圧延率が高いときは, 再結晶組織は圧延組織の型に特有なものになる.
(4) 圧延組織がいくつかの成分をもつときは, それぞれの成分の占める領域は常にそれに対応した再結晶組織によって占められる.たとえ1つの成分がほかよりずつと早く再結晶しても事情は変わらない.
(5) 再結晶組織の各成分は圧延組織の対応する成分と関係づけられるが, その方位関係は単一な結晶学的関係では表わせない.
結論として, 特定の集合組織をもった圧延マトリックス中では.特定の方位以外の結晶粒は成長できない.その方位がすなわち再結晶組織にほかならない.

© 一般社団法人 日本鉄鋼協会
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