鉄と鋼
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MgO飽和CaO-FetO-SiO2-P2O5系スラグ-溶鉄間のりん分配におよぼすNa2O,BaOの影響
水渡 英昭井上 亮
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1984 年 70 巻 3 号 p. 366-373

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抄録

本研究で得られた結果を要約すると以下のとおりである.
1) 脱りんの平衡濃度比の対数,log(%P2O5)/{[%P]2・(%FetO)5}はスラグ組成(重量パーセント)の一次関数で近似されるが,それにおよぼすNa2O,BaO添加の影響はwt%基準でCaO当量がそれぞれ1.2と0.9であつた.
2) P2O5の活量係数の対数logγP2O5はTURKDOGANとPEARSONの関係式よりスラグ組成(モル分率)の一次関数として表されるが,それにおよぼすNa2O,BaO添加の影響はモル分率基準でCaO当量がそれぞれ33/23および42/23であつた.
3) CaO-MgOsat.-FetO-SiO2-P2O5系スラグ中のFetOの活量係数,γFetOにおよぼすNa2O,BaO添加の影響を調べた結果,Na2O添加はγFetOを下げ,BaOはほとんど変えないことがlogγFetONSiO2との関係を表した図からわかつた.
4) CaO-MgOsat.-FetO-SiO2-P2O5系スラグー溶鉄間のデータから求めたlnNPO3-4/{[P]・[O]5/2}とoptical basicity(Λth)との関係において,Na2O,BaOの添加により一定ΛthのときのlnNPO3-4/{[P]・[O]5/2}の値は高くなる傾向を示した.
5) Flood-Grjotheimの脱りんイオン式のMn2+,Na+,Ba2+の等価陽イオン分率N'Mn2+,N'Na+,N'Ba2+の係数はそれぞれ0.6,19および24となつた.

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