1985 年 71 巻 6 号 p. 680-686
ウスタイトのCO-H2混合ガスによる還元速度に関して,未反応核モデルに基づく数式モデルを展開した.このモデルにおいて,
(1)還元鉄を触媒とする水性ガスシフト反応を考慮に入れた.
(2)ガス境膜および生成鉄層内のガスの拡散速度は多成分系のSTEFAN-MAXWELLの式によつて推算した.
緻密なウスタイトの薄板のCO-H2混合ガスによる還元実験を1000℃において行い,そのデータをこの数式モデルを用いて解析した.その結果,次のことがわかつた.
(1)水性ガスシフト反応の影響は無視できるほど小さい.
(2)還元速度のガス濃度への依存性は加成性から負に偏倚する.その理由はガス境膜および生成鉄層における拡散抵抗の寄与が大きいためである.