鉄と鋼
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Ni 基超合金粉末の組織微細化に及ぼす噴霧条件の影響
加藤 哲男草加 勝司洞田 亮市川 二朗
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1985 年 71 巻 6 号 p. 719-726

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抄録

LHC 遠心噴霧法により製造した Ni 基超合金粉末の製造条件と粉末特性および組織微細度 (SII) との関係について検討し, 以下の結果を得た.
まず粉末の最頻出粒径 (dm) は主に回転ディスクの周速度に依存し,ディスク径が一定の場合, 回転数 (R) の R-0.84に比例して細粒化する. また, 回転ディスクの材質により粉末形状が変化し, 熱伝導のよいグラファイトを使用した場合, 最も球状化する. 通常, 超合金粉末はキャニング5)された状態で冷間または熱間加工される都合上, 充填率の高い球状粉末が好ましいと考えられる.
次に溶質偏析の一つの尺度17)となる2次デンドライト・アーム間隔(SII)は, 回転ディスクの周速度 (DR)0.17に反比例し, 粉末が細粒化するほど減少する. すなわちディスクの回転を増速することが最も効果的である. さらに, 噴霧粒子の冷却には H2, He など熱伝導度のよい冷却媒を使用し, 液化ガスの導入量を多くすると同時に, 雰囲気圧力を高めることも有効であることがわかつた.
なお, 本研究は通産省工技院のプロジェクトである 「次世代産業基盤技術開発」 の一環として実施したものである.

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