鉄と鋼
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オイルシェール開発の現状と将来
内田 俊春
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1985 年 71 巻 7 号 p. 775-783

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抄録

オイルシェールの開発には,広い分野の総合的な技術力が必要とされる.Fig.13は,ベクテルが整理したもので,オイルシェール開発技術の展望を示している.
オイルシェールは他のエネルギー源に比して品位が低く,1barrelのオイルをとるために約2tの鉱石を処理しなくてはならないというのが最大の悩みである.
量との闘いであり,1日に5万barrelの油を生産するためには1日10万tの鉱石を処理しなくてはならない.年間に直すと3650万tということになつて,これは最大級の褐炭鉱山あるいは鉄または銅鉱山にほぼ匹敵するわけで,しかも同時にほぼ同量のスペント・シェールが排出される.
従つて,環境破壊に気をつけながら開発を進めていくという極めて困難な問題があり,コスト的にも量をいかにうまくこなすかということが重要な問題となる.オイルシェールの開発は,多方面の技術開発ばかりでなく,ソーシャル・インパクトへの対策まで含めて広範な研究を必要とするビッグ・プロジェクトである.

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