鉄と鋼
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鋼の変態集合組織の計算機シミュレーション
古林 英一
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1985 年 71 巻 9 号 p. 1155-1162

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抄録

本研究の内容を要約すると次のとおりである.
(1)純銅型圧延集合組織を有するオーステナイトを変態させた時の変態集合組織をモンテカルロ法により計算機シミュレーションを行つた.従来の実験結果から上記条件に符合する典型的{001}極点図を選び,これまで知られているバリアント選択則をもとにした計算極点図と比較した.
(2)バリアント選択がないと仮定した計算極点図の極点分布は,実測極点図の極密度分布より広い範囲を含み,バリアント選択の存在が示唆された.
(3)バリアント選択則の一つとして,圧延による外力がオーステナイトのすべり系に及ぼす効果をもとにした活動すべり系モデルと晶癖面モデルを用いた計算では,実測結果をうまく説明できない.これに対してオーステナイトの{111}<112>せん断変形で,変形双晶の生ずる向きに対する圧延と逆向きの「圧延逆応力」の助けを仮定した計算と実測結果は比較的良く合致する.

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© 一般社団法人 日本鉄鋼協会
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