鉄と鋼
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ゲートライジング法における押出条件と押出しに先だつHIPの効果
中沢 静夫冨塚 功小泉 裕原田 広史山崎 道夫
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1986 年 72 巻 16 号 p. 2256-2262

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抄録

WやTaを多量に含むNi基超耐熱合金に,ゲートライジング法を適用した場合の押出しの前に行うHIP,押出温度,押出し比がプロセス及びその後の中間製品の特性におよぼす影響を検討し次の所見を得た.
イ)押出しの温度は低すぎると押出しに過大の力が必要となり,高すぎると製品が超塑性変形を起こさなかつたり,ひび割れが生じたりする.今回の実験では粉末の場合は押出しが可能でかつ超塑性を示す製品が得られる温度の範囲は1100-1200℃の間約100℃であつたが,低温で押し出したものは超塑性特性が十分に均一でなかつた.
ロ)押出しの前にHIPを行うと押出しに必要な応力には大差がなく,760℃での高温引張特性が改善されたが,超塑性伸びが低下し,超塑性加工が可能な押出し材が得られる押出温度の範囲が狭くなつた.
ハ)HIPをしてから押し出した場合,押出し比を下げると押出しに必要な応力は低下したが,得られた押出し材の超塑性および機械的特性も低下した.この研究の遂行に当たりましては(株)神戸製鋼所の関係者の方々にお世話になりました.また,結晶粒径の測定は金属材料技術研究所の松島博士の好意によるものです.ここに記して感謝のしるしとします.
なお,この研究は通商産業省工業技術院の次世代産業基盤技術研究開発制度に基づき,「高性能結晶制御合金の研究開発」の一環として行われたものである.

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