鉄と鋼
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ガラス-結晶法による塩化鉄焙焼酸化鉄の高純度化
井上 亮水渡 英昭
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1990 年 76 巻 10 号 p. 1680-1687

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抄録

塩化鉄焙焼酸化鉄をNa2O-B2O3系フラックスに溶解し急冷して得たガラス試料を再加熱することにより,高純度α-Fe2O3微粒子を得る実験を行い,以下の結果を得た.
1)結晶化温度が高いほど,その温度における各不純物濃度の極小値に達するまでの時間は短い.ただし, Ca, Ti濃度は結晶化時間に依存せず一定である.
2)いずれの結晶化温度においても,XNa2O/XB2O3 = 1/4の試料を処理した場合に低い不純物濃度を示した.
3)低温での結晶化処理において,いずれの組成のガラス試料でも初期に楕円球状の結晶が析出する.より高温では,XNa2O/XB2O3 = 1/2の試料からは六角板状結晶が生成しC軸方向に成長する.XNa2O/XB2O3 = 1/3, 1/4の試料からは多面体結晶が晶出し,三次元的に成長した.
4)得られた結晶の表面層に不純物が濃化する現象が認められた.この表面層を酸処理で除去することにより,さらに高純度なα-Fe2O3が得られた.

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