鉄と鋼
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製鋼プロセスにおけるオンライン分析
石橋 耀一岩田 英夫
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1991 年 77 巻 1 号 p. 46-55

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抄録

製鋼プロセスにおけるオンライン分析法の開発に関し,溶鋼の直接分析と製鋼工場におけるオンサイト分析の二つの分野の1980年代以降の研究開発状況と将来の展望について述べてきた.当初欧米で先駆的に進められてきた溶鋼直接分析技術開発も最近は日本での研究開発がその大部分を占めるようになり,特にここ2~3年は日本において実用レベルをめざした検討が実炉で行われるようになってきている.溶鋼オンライン分析の姿が見え始めたといえる.レーザー,プラズマ,光ファイバー,ファインセラミックスなどの分析の周辺技術の進歩と今まで長年続けられてきた地道な鉄鋼分析の技術開発努力が,溶鋼直接分析技術開発をささえる大きな力となっている.しかし,本格的な実用化技術となるにはまだ多くの課題を乗り越える必要がある.
精錬プロセスにおける分析フィードバック時間の短縮は発光分光分析装置をオンサイト化することにより達成されている.オンサイト分析が可能になった理由は発光分光分析装置がコンパクト化,自動化され,同時に分析ソフト,試料前処理技術,分析条件などが改良されたためである.
製鋼プロセスは今後もますます多様化,高度化,合理化が進展すると思われる.これに対応して,オンライン分析ニーズも多様化してゆくと想定される.現在研究開発が進んでいる分析技術が核になって,製鋼プロセスに貢献できるオンライン分析技術が実現することを望みたい.

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