1992 年 78 巻 12 号 p. 1824-1830
2.4 GPa 級 18%Ni マルエージ鋼において,靱性改善を目的とした組織制御,特に微量のγの残留による高強度高靱性を狙った未再結晶溶体化処理を試み,以下のことを明らかにした.
1)逆変態γの未再結晶温度域への短時間加熱は,高密度の転位を含むγからのマルテンサイト変態による組織の微細化と変態温度の低下をもたらす.
2) Mfを室温以下に低下させる短時間未再結晶溶体化処理は,マルテンサイトの界面にγを微細に残留させ,強度を大きく損なうことなく靱性を著しく向上させる.