鉄と鋼
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レニウムを含むニッケル基単結晶超合金の組織と合金元素の分配比
松木 一弘宮崎 省吾村田 純教森永 正彦湯川 夏夫
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1992 年 78 巻 4 号 p. 658-665

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抄録

Reを含む高性能単結晶超合金の組成の最適化指針を得るため,Ni-10Cr-12Al-1.2Ti-2.6Ta-2.0W-0.7Mo(mol%)の7元系合金に0~1.00mol%Reを添加した一連の合金について,その相安定性を調べると共に,各合金元素のγ相およびγ'相への分配比の検討を行った.また,すでに著者らが設計したRe添加の高性能合金(Ni-1OCr-12Al-1.5Ti-2.1Ta-2.3W-0.8Mo-0.25Re,mol%)に0, 4.5, 9.0mol%Coを添加した合金についても,その相安定性を調べると共に各合金元素の分配比を調べ,Re添加合金の組成の最適化という観点からCoの効果を検討した.
(1)Ni-10Cr-12Al-1.2Ti-2.6Ta-2.0W-0.7Mo(mol%)合金のNiとReをそれぞれ0, 0.25, 0.40, 0.50,1.00mol%ずつ置換した合金における相安定性は,(a)0.25mol%Reが共晶γ'相の抑制限界,(b)0.40mol%Reがαおよびσ相の抑制限界,として整理できる.
(2)Ni-10Cr-12Al-1.2Ti-2.6Ta-2.0W-0.7Mo-0/0.25/0.40/0.50Re(mol%)合金において,Reはほとんどγ相中に固溶した.さらに,本合金系に0.25mol%より多くReを添加した際,合金組成の最適化を図るためには,Ni-10Cr-12Al-1.2Ti-2.6Ta-2.0W-0.7Mo-0.25Re(mol%)合金に比べ,Cr,W,Mo,Ta量の減少,Al量の増加を考えなければならない.
(3)Ni-10Cr-12Al-1.5Ti-2.1Ta-2.3W-0.8Mo-0.25Re-0/4.5/9.0Co(mol%)合金において,Coは相安定性を良好に保ちながらNiとほぼ完全に置換して,γおよびγ'相に固溶した.なお,Coを添加しても各合金元素の分配比は変化しなかった.従って,Ni-Cr-Al-Ti-Ta-W-Mo-Re系合金にCoを添加して合金組成の最適化を図ることは,高性能合金を得るうえで有効である.

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