鉄と鋼
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ニッケル基単結晶超合金の凝固・析出反応温度とクリープ破断寿命および製造性との関係
松木 一弘村田 純教森永 正彦湯川 夏夫
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1992 年 78 巻 5 号 p. 814-820

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抄録

Co含有レベルの異なったNi-10Cr-12Al-1.5Ti Ta-W-Mo-0.25Re-0/4.5/9.0Co系合金3種および,Cr含有レベルの異なったNi-10/13/16Cr-12Al-1.2Tih-W-Mo系合金3種を用いてDTA測定を行った.DTA測定結果と,クリープ破断特性,単結晶の製造性,熱処理性,微細組織との関連について検討した.以下に示す結果が得られた.
(1)NASAIR100のDTA測定結果より,単結晶の製造性および熱処理性を良好に保つための制限条件を,それぞれΔT≦50K,H.T.W.≧20Kと決定した.本実験合金(6合金)すべては,これらの条件を満足し,良好な単結晶の製造性および熱処理性を有することが分かった.
(2)CoおよびCrの添加量とともに,析出γ′相の体積率とγ′相固溶限温度が低下した.
(3)実験合金6種とも組織が均質であり,かつ高温での組織の安定性に優れていた。
(4)CoおよびCrの添加量とともにクリープ破断寿命は低下した.
一方,クリープ破断伸びはCo添加量とともに増加し,Cr添加量とともに減少した.
(5)ニッケル基超合金において,凝固,析出反応温度がクリープ破断寿命を評価するときの一つの目安になることがわかった.

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