鉄と鋼
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高温腐食環境における溶射技術の適用例
中森 正治
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1992 年 78 巻 6 号 p. 854-859

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抄録
ボイラー及びガスタービンにおける高温腐食とその防止対策としての溶射法の利用について述べた。結果を要約すると以下のとおりである.
(1)ボイラー及びガスタービンにおける高温腐食による損傷は,使用燃料の低質化とガス温度の上昇によりさらに増加する傾向にあり,プラント寿命に重大な影響を与えるようになっている.
(2)ボイラーにおける高温腐食対策として,NiCr合金やFeCrAl合金のプラズマ溶射がバーナー部品や高温伝熱部管,燃焼室蒸発管に施工されている.特に蒸発管(炉壁)へは500m2以上の広い面積へ,現場で施工され,優れた効果を挙げている.
(3)ガスタービンへはセラミックの低熱伝導率を利用した遮熱コーティング(TBC)やMCrAlYの低圧プラズマ溶射法が利用されている.TBCは長時間使用時の信頼性等また低圧プラズマ溶射法はその処理効率の向上や大形品への施工等課題はあるもののその優れた皮膜特性よりガスタービン以外への高温機器へも適用が拡大していくと考えられる.
以上,皮膜の有孔性のため,高温腐食防止処理としての利用が比較的少なかった溶射法も新しい溶射手法,材料の出現と適切な使用条件の把握等により種々の高温機器の性能向上と寿命延長に利用されるようになっており今後さらにその利用の拡大は有望である.
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© 一般社団法人 日本鉄鋼協会

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