1993 年 79 巻 10 号 p. 1164-1168
(BaO+CaO)-(BaF2+CaF2)系への炭酸ガスの溶解度を熱天秤法により1674Kで決定した。その結果,この系に対する炭酸ガスの溶解度は最初に配合されたBaO濃度には依存せず, BaO(1)+CaF2(1) = CaO(1) + BaF2(1)で示される置換反応の平衡値Kpで決まる融体中のBaO濃度に比例して変化することが分かった。この考え方を拡張してBaO-CaO-BaF2系およびCaO-NaF系フラックスによる高炭素鉄クロム合金液体の脱りんに関して報告された結果に検討を加えた。このような酸化物-ハロゲン物系フラックスにおいては,炭酸ガスの溶解度の場合と同様に,これらが置換塩系を作ると仮定すると,配合フラックス組成と脱りん率との関係が整理できることを示した。