鉄と鋼
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Fe-19%Ni合金における逆変態オーステナイトの回復・再結晶に及ぼす硼化物生成元素の影響
安野 拓也小金井 昭雄栗林 一彦長谷川 正堀内 良
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1994 年 80 巻 4 号 p. 342-347

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抄録

せん断型の逆変態挙動をとるFe-9%NI二元系合金にBとともに種々の硼化物生成元素をそれぞれ0.05mol%, 0.1mol%複合添加した合金を用い,逆変態γの回復・再結晶に及ぼす硼化物生成元素の影響を調べ,以下のことを明らかにした。
硼化物生成元素を単独添加した合金の再結晶温度はベース材と比べ高々50K上昇するに過ぎないが,Bと共に複合添加した場合は100K以上上昇した。そして,再結晶温度が最も上昇した合金はBとNbの複合添加材であった。
Bと硼化物生成元素の複合添加は,回復過程をも遅滞させる。これは,微細な硼化物が多量に分散するために,転位の移動と再配列が妨げられることによるものであろう。また,NbとBの組合せによりこの現象が最も顕著に現れるのは,溶解度積が小さいため微量の添加で比較的高温まで安定な硼化物が微細に析出しているためと考えられる。

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