鉄と鋼
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CO-CO2混合ガスによる3成分系カルシウムフェライトの還元平衡
前田 敬之小野 陽一
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1994 年 80 巻 6 号 p. 451-456

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抄録

2成分系カルシウムフェライトと4成分系カルシウムフェライトの還元挙動の違いを明らかにするための基礎的研究として,試薬を用い化学組成の異なる2種類のCaO-Fe2O3-Al2O33成分系カルシウムフェライトを合成し,そのCO-CO2混合ガスによる還元経路並びに還元平衡を調べ以下の結果を得た。
(1)Al2O3含有量の多いCaO・3(FexAl1-x)2O3系の3成分系カルシウムフェライトはCaO・Al2O3を析出しながらAl2O3,CaOを固溶したマグネタイト,ウスタイトを経て鉄に還元され,4成分系カルシウムフェライトと還元経路は同じである。還元の各段階の平衡曲線は,純粋なマグネタイトとウスタイトおよび純粋なウスタイトと鉄の平衡曲線をそれぞれ高CO側にシフトした形となり,4成分系カルシウムフェライトの平衡曲線とはほとんど変わらない。
(2) Al2O3含有量の少ないCaO・Fe2O3系の3成分系カルシウムフェライトは純粋なモノカルシウムフェライトと同じ中間生成物が同定され,その還元経路はモノカルシウムフェライトと同じである。還元の各段階の平衡曲線は純粋なモノカルシウムフェライトの平衡曲線をそれぞれ高CO側にシフトした形となる。
(3) (1)と(2)の結果より,2成分系カルシウムフェライトと4成分系カルシウムフェライトの還元挙動が異なるのは,その結晶構造が異なるためであると考えられる。

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