抄録
2.1GPa級18%Niマルエージ鋼の未再結晶溶体化処理による高靱性化とB添加量との関連性について検討を行い,以下のことを明らかにした。
(1)18%Niマルエージ鋼にBを添加すると,その添加量とともに逆変態γの再結晶温度は上昇する。これは,Bの添加によって回復の進行が長時間側へ移行し,回復が遅滞するために引き続き起こる再結晶も抑制されることによるものである。
(2)Bの添加は回復・再結晶を抑制するが,0.0020%以上のBを添加すると1123Kの高温側の未再結晶溶体化処理において,棚化物が旧γ粒界上に粗大に析出することにより靱性が低下する熱脆化現象を引き起こしてしまう。この熱脆化を避けて未再結晶溶体化処理による高靱性化が実現するB添加量は0.0010%程度である。