鉄と鋼
Online ISSN : 1883-2954
Print ISSN : 0021-1575
ISSN-L : 0021-1575
オーステナイト系ステンレス鋼板表面の粒界浸食溝の冷間圧延における平滑化挙動
剣持 一仁鑓田 征雄阿部 英夫小堀 克浩吉岡 正浩清野 芳一
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 83 巻 8 号 p. 485-489

詳細
抄録

SUS304鋼板に特有の微小な表面欠陥である粒界浸食溝について,熱延鋼板の焼鈍,酸洗および冷間圧延時の生成挙動について検討し,以下の結果を得た。
(1)熱延鋼板の焼鈍,酸洗における鋼板表層の粒界浸食溝は,焼鈍後の鋼板冷却時に生成し,酸洗により深さおよび幅ともに拡大する。
(2)粒界浸食溝の生成に鋼板表層のCr欠乏層が関係する。
(3)冷間圧延後の粒界浸食溝の低減に,ロール径,潤滑の有無,ロール粗さ,および圧下率が大きく影響し,本実験条件の範囲では圧延速度および圧延油の粘度の影響は小さい。
(4)ロールバイト内部での粒界浸食溝の挙動について,ロールバイト入側では粒界浸食溝が口を開き拡大する。ロールバイト中央から出側にかけては,粒界浸食溝への圧延油封入量が影響し,少ない場合は粒界浸食溝が変形して平滑化しやすく,多い場合はさらに拡大するとして説明される。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本鉄鋼協会
前の記事 次の記事
feedback
Top