鉄と鋼
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EPMAによる微小領域のMgのX線吸収微細構造測定
河合 潤高橋 秀之林 好一岡崎 真也粟倉 泰弘
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1999 年 85 巻 2 号 p. 164-168

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抄録

電子プローブX線マイクロアナライザーや蛍光X線分光分析装置で,シンクロトロン放射光を用いるのと同様なX線吸収スベクトルの測定可能なことを,Mgの金属および酸化物について示した.今回の実験に用いたものと同じ使い方ができる電子プローブX線マイクロアナライザーや蛍光X線分光分析装置は,波長分散型といわれるものであるが,日本国内で数千台が現に使用されている.シンクロトロン放射光は,迅速で質の良いスペクトルが測定可能であるが,ビームタイムが限られており,また分析が必要な現場からは遠方にある.今回40μmφの局所のMgOのX線吸収スペクトルを150分で測定することができた.このような測定は,金属材料中の軽元素介在物の化学状態分析に応用可能と考えられる.介在物内ではMg,Al,Si等軽元素濃度が高いので,電子ビームを絞ることにより,S/Nの良いスペクトルが測定可能となるであろう.シンクロトロン放射光は,コスト的にも利便性の点でも,現時点では実用分析用にはほど遠いが,本報告のEPMAを用いたEXAFS法を用いればX線吸収分光実験がより一般化すると期待できる.
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光研究施設北島義典氏にはシンクロトロン放射光によりMg化合物のXANESスペクトルを測定していただきました.

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