非常に微細なベイナイト・ラスの変形初期過程に関する情報の一部を表面起伏生成を利用して,初めて得た結果をまとめる。
(1)ベイナイト・ラスの変形の確認のために,転位のすべり運動によるベイナイト・ラスと試料表面との交面上の表面起伏を利用することができる。
(2)ベイナイト鋼の変形初期においては,主としてベイナイト・ラスのシュミット因子に依存して変形が進行すると考えられる。
(3)今後,ベイナイト・ラスの変形抵抗になると考えられるベイナイト・ラス中の格子欠陥,主として転位,の性状に関する情報を得ると同時にこれらが活動すべり系にいかなる影響を及ぼすかを明確にする必要がある。