抄録
糖タンパク質医薬品の糖鎖の不均一性解析は,医薬品の命名・定義,品質の恒常性確保,並びに製造方法変更及びバイオ後続品開発の際の同等性・同質性評価において重要である。液体クロマトグラフィー/質量分析法は,糖タンパク質医薬品の糖鎖不均一性解析法として最も有用性の高い分析法の一つとして知られている。本稿では,組織プラスミノーゲンアクチベータ,モノクローナル抗体,卵胞刺激ホルモン及びヒト絨毛性性腺刺激ホルモンなどの代表的糖タンパク質の分析例を示しながら,糖鎖不均一性解析における LC/MS の有用性を概説する。また,質量分析法を用いた糖タンパク質解析法をグライコミクスに応用した例を紹介する。