Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グライコデビュー
分子内アプローチに基づいた糖鎖-糖鎖間相互作用の解析
Teruaki Hasegawa
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2009 年 21 巻 122 号 p. 345-353

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抄録
細胞上に存在する糖鎖同士の特異的な相互作用が,細胞接着や細胞間情報伝達などの生体現象に深く関与していることが知られるようになってきた。筆者らもこれまで糖鎖間相互作用の研究を行ってきたが,筆者らの研究の特徴は,分子骨格のコンホメーション変化が分子内の糖鎖間相互作用と熱力学的にカップリングするようデザインされた種々の糖クラスター化合物を用いている点にある。例えば人工糖ペプチドを用いた系では,分子内糖鎖間相互作用をペプチド主鎖のヘリックス-コイル転移を基に検出することが可能であった。また,鉄ポルフィリン μ-オキソダイマーやフェロセンなどの分子骨格を利用した別のモデル系においては,軸周りの分子回転運動を利用して糖鎖間相互作用を検出することも可能であった。これら全ての実験系において,ある特定のイオン種が特定の糖鎖同士の相互作用を誘起させることが示された。
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© 2009 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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