Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー
腫瘍免疫におけるフコシル化糖鎖の役割
Kenta MoriwakiEiji Miyoshi
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2010 年 22 巻 127 号 p. 239-246

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抄録
近年の糖鎖生物学の急速な発展に伴い、フコースが様々な生物において必要不可欠なものであり、多くの生命現象に関与することが明らかとなってきている。現在、多くの研究者が分子レベルでフコシル化の機能を解明しようと日夜努力しているが、フコシル化が関与する生命現象を完全には解明できていない。癌の分野においても、癌化に伴いフコシル化が増加することが古くから知られており、いくつかのフコシル化分子が腫瘍マーカーとして利用されてきたが、それが癌の性質においてどのような生物学的意味を持っているのかについてはあまり理解されていない。最近、我々はフコシル化がアポトーシス誘導分子であるTumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)による癌細胞のアポトーシスを制御し、NK細胞による腫瘍免疫監視機構に関与することを明らかとした。本総説では、我々のこの新しい知見を中心に、癌とフコシル化の関係について概説したい。
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© 2010 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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