Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー
Endo-β-N--Acetylglucosaminidase の驚異的糖転移能力
Lai-Xi Wang
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2011 年 23 巻 129 号 p. 33-52

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抄録

合成的利用を目的として、 endo-β-N--acetyl-glucosaminidase (ENGases) の糖鎖転移能力を大幅に向上させる研究がなされた。Endo-β-N--acetylglucosaminidase の糖供与体として合成オキサゾリン糖鎖を用いることは、基質の入手容易さと酵素の糖転移活性を大幅に向上させた。一方、活性スクリーニングを伴った部位特異的変異法により ENGase を基盤とした第一世代 グライコシンターゼ を見出した。見出された グライコシンターゼ は、高度に活性化された合成オキサゾリン糖鎖を基質とするが、基底状態である生成物の加水分解はおこさない。ENGase は糖転移活性において以前考えられていたよりも広い基質受容能と柔軟なフレキシビリティを持つ。ENGase を基盤とする化学酵素的手法は、幅広い均一な糖ペプチド、厳密に規定された糖鎖を持つタンパク質、新規糖クラスター、通常グリコシル化されていない天然物やポリサッカライドなど、複雑な構造の糖鎖の合成に幅広く適用できることが明らかとなった。本総説では、ENGase が触媒する糖転移反応の潜在的合成有用性に焦点に当て、重点を置いて述べる。

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© 2011 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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