Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
ミニレビュー
ムチンの電気泳動における最近の進歩
Akihiko KameyamaYu-ki Matsuno
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 24 巻 138 号 p. 137-151

詳細
抄録

ムチンのO-結合型糖鎖のがんに関連した構造変化は古くから報告されてきた。ムチンは巨大な分子である上、多量体の形成、多数のO-結合型糖鎖、プロテアーゼ耐性などの理由により、プロテオミクスなどの現代的な技術を用いた高スループットな分析ができない。ムチンを対象としたバイオマーカー探索を進めるためには、簡便な新規分析法が必要である。分子マトリクス電気泳動(SMME)はPVDF膜のような多孔性の膜に含浸させた親水性ポリマーを分離担体とする膜電気泳動である。セルロースアセテート膜電気泳動において利用される泳動条件がほぼそのままSMMEにも利用できる。この方法ではアルカリによる糖鎖のβ脱離反応を行っても、膜からヘキソースオリゴマーなど、糖鎖分析を妨害する副産物が生じない。我々はSMMEを用いて3種の細胞株(T47D、HPAF-II、BxPC3)が産生するMUC1の特性解析を行った。

著者関連情報
© 2012 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
次の記事
feedback
Top