Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
糸状菌におけるガラクトフラノース含有糖鎖の生合成
岡 拓二後藤 正利
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2016 年 28 巻 160 号 p. J39-J45

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抄録
ガラクトフラノース含有糖鎖は子嚢菌門のうちチャワンタケ亜門に属する糸状菌に見られる。ガラクトフラノース含有糖鎖は医療現場において肺アスペルギルス症の指標として広く使われており、糸状菌の細胞壁形成における重要性が認識されてきたにも関わらず、その生合成に関わるガラクトフラノース転移酵素に関する情報は知られていなかった。2013年に我々は、モデル糸状菌Aspergillus nidulansおよびヒト病原菌Aspergillus fumigatusのガラクトフラノース含有糖鎖生合成を担うガラクトフラノース転移酵素の同定と性質決定に初めて成功した。本酵素は、GT31ファミリーに属する糖転移酵素であり、ゴルジ体においてUDP-ガラクトフラノースを糖供与体としてO-グリカンの非還元末端にガラクトフラノースを転移する活性を有していた。本総説では本酵素の同定までの過程、酵素学的性質、細胞内における機能および糸状菌のガラクトフラノース含有糖鎖合成について紹介する。
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© 2016 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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