Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
小胞体グルコシダーゼ阻害による抗ウイルス活性発現機序
恩田 桃子袴田 航
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 30 巻 176 号 p. J115-J121

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抄録

細菌感染症の治療には抗生物質、ウイルス感染症の治療には抗ウイルス薬が用いられる。しかし、上市されている抗ウイルス薬の数およびその作用機序は抗生物質のそれに比べて非常に限られている。抗ウイルス薬はウイルスタンパク質を直接標的とする直接作用抗ウイルス薬(Direct-acting antivirals, DAAs)と宿主因子を標的とする抗ウイルス薬(Host-targeting antivirals, HTAs)に分けることができる。DAAsには高頻度に薬剤耐性ウイルスが出現する問題があるため、薬剤耐性ウイルスの出現頻度が非常に低いHTAsが注目されている。HTAsの作用標的の1つとして小胞体グルコシダーゼが知られている。本酵素の阻害はウイルスの再構成と放出を撹乱することにより抗ウイルス活性を発現する。これまでに、いくつかの阻害剤が臨床試験にまで到達したが、阻害剤の低い膜透過性の問題から抗ウイルス薬として上市するには至っていない。我々はその問題を解決する阻害剤を得るため、小胞体グルコシダーゼ活性測定系を開発し阻害剤探索を行った。本稿では取り組みについて述べる。

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© 2018 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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