Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
糖鎖ミメティクスを用いた、がんの治療法研究
野中 元裕
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2021 年 33 巻 191 号 p. J1-J4

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抄録

これまで著者の米国留学先の研究室において、セレクチンを介したがん細胞の血行性転移を阻害可能な薬剤を得る目的で糖鎖模倣ペプチドの探索が行われた。ファージスディスプレイ法によって得られた糖鎖模倣ペプチド(I-ペプチド)は、セレクチンに親和性を示し、マウスモデルにおいてメラノーマ細胞株の肺への転移を抑制した。しかし、その生体内受容体は当初予想していたセレクチンではなく、Ser/Arg-rich alternative mRNA splicing factors(Sfrs)およびアネキシンA1(Anxa1)であった。Anxa1は悪性脳腫瘍を含む多くの固形がんの血管内皮細胞表面に発現しており、I-ペプチドのアナログであるIF7ペプチドは、Anxa1のN末端領域に特異性を示すとともに、血管内皮細胞を通過してがん細胞に迅速に集積した。さらに、IF7-抗がん剤のコンジュゲートは皮下腫瘍および脳腫瘍のモデルマウスにおいて腫瘍の増殖を抑制した。以上の結果はIF7が効率的なドラッグデリバリーシステムとして機能することを示すものである。

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© 2021 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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