1998 年 10 巻 53 号 p. 235-245
α1-酸性糖タンパク質 (AGP) は、5個のN結合型糖鎖を持つ不均一な構造の糖タンパク質で、急性の病気の時に出現する。この不均一性は、血漿中に多種の異なる糖鎖を持つAGPグリコフォームが存在するためであり、これらの糖鎖の血漿中の濃度、そしてこれらグリコフォームの相対比は厳密にサイトカインやホルモンによって決められる病態に依存している。これら体液中の因子は、肝臓の実質細胞のグリコシレーションの過程をAGPアグリコンの合成速度とは無関係に変化させる。ここでは種々の生理的、病理的条件下でのAGPのグリコシレーションの変化の特徴や制御について総説し、また異なるAGPグリコフォームの抗炎症作用効果について述べる。