Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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キチンオリゴ糖合成酵素NodCと近縁のβ-多糖合成酵素における機能ドメイン
Eric KamstP. Herman Spaink梅原 洋佐
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1999 年 11 巻 60 号 p. 187-199

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抄録

糖転移酵素の構造の比較は、広い範囲で配列の保存された領域がないためにあまり進んでいない。互いに近縁な糖転移酵素であるβ-ガラクトシル転移酵素ファミリー、シアル基転移酵素およびβ多糖合成酵素、すなわちβ結合多糖からなる直鎖状の多糖の合成に関与する糖転移酵素のグループについて、狭い領域における限定されたホモロジーが報告されているのみである。そのような酵素の例として、キチン合成酵素、セルロース合成酵素、ヒアルロン酸合成酵素、そしてキチンオリゴ糖を合成するバクテリアのNodCタンパクがある。この論文では、これまでに知られているこのグループの転移酵素の機能と構造について整理する。これらすべての酵素は、この糖転移酵素ファミリーを通じて保存されている6種の短いコンセンサスな配列を持っている。これまでに報告された部位特異的変異の研究により、これらの保存されたアミノ酸残基が酵素活性にとって重要もしくは必須ですらあることが示されている。ヌクレオチドと糖の結合、あるいは糖受容体との結合に関連してこれらの配列に導入された変異の詳細な研究が行われていないため、既存のデータからはこのグループの酵素の基質結合性や転移反応における保存領域の正確な役割に関する情報を得ることはできない。しかしながら、我々はこのβ-多糖合成酵素ファミリーのメンバーすべてに保存されている新規のモチーフがヌクレオチド3リン酸結合タンパクの既知のヌクレオチド結合モチーフと相同であることを見いだした。また、配列解析の結果に基づいて、これらβ-多糖合成酵素ファミリーにおける保存領域の基質特異性、触媒作用および生成糖鎖長の制御における機能についても議論する。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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