1999 年 11 巻 62 号 p. 413-428
アレルゲン研究において糖鎖生物学が始まっている。N-結合型の植物糖タンパク質の複合型糖鎖では一般に、β-マンノースにβ1-2結合したキシロースおよび還元末端N-アセチルグルコサミンにα1-3結合したフコースを持つ特徴的なコア構造を有し、これらは動物にはめったに見られないものである。植物糖タンパク質のそのような糖鎖は、動物に免疫応答を誘導することが明らかになった。本総説では、増加する花粉および食物アレルゲンに関する研究から得られた、植物の糖鎖エピトープ (植物グライコトープ) の構造、免疫原性およびアレルゲン性に関する現在の知見を紹介する。また植物グライコトープの糖鎖生物学の発展とその研究成果をアレルギー治療などに応用するために、明確にすべき基本的な問題を提起する。