Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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新しいタイプの澱粉およびグリコーゲン分解酵素“α-1,4-グルカンリアーゼ”
Shukun Yu釜阪 寛
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2000 年 12 巻 68 号 p. 381-388

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抄録

α-1,4-グルカンリアーゼ(EC4.2.2.13)は、マルトース、マルトオリゴ糖、澱粉およびグリコーゲンのようなα-1,4-グルコシド結合からなるグルコースオリゴマーやポリマーに作用して、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースを生成する酵素である。分子量は約120kDa、作用至適pHは4.0-6.5であり、シングルポリペプタイドからなっている。α-1,4-グルカンリアーゼはα-1,4-グルコシド結合に対し高い特異性を有しており、α-1,6-グルコシド結合に対しては、殆ど作用しない。また、本酵素はエキソ型の酵素作用を示し、非還元末端側から還元末端あるいは枝別れ箇所まで順次グルコース単位で切断し、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースを生成する。つまり、マルトースを作用基質とした場合、グルコースと1,5-アンヒドロ-D-フラクトースが等モル量生成してくることになる。一方、アミロペクチンやグリコーゲンに作用させた場合は、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースとα-1,6-グルコシド結合部分で分枝構造を多く含むリミットデキストリンを生成する。著者らは、現在までに、カビや藻類からα-1,4-グルカンリアーゼを精製し、その遺伝子のクローン化もおこなってきた。1,5-アンヒドロ-D-フラクトースおよびその代謝産物である1,5-アンヒドロ-D-グルシトールが、大腸菌やほ乳類において見出されている。この事実は、大腸菌やほ乳類ではもう一つのグリコーゲン分解経路が機能している可能性を示唆するものである。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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