ガラクトース転移酵素は糖転移酵素のファミリーの中で最も代表的なものである。ガラクトース転移酵素はUDP-α-D-ガラクトースを供与体としてガラクトースを糖タンパク質、グリコアミノグリカン、糖脂質、あるいは植物ホルモンなどのような脂溶性分子などさまざまなアクセプターに転移する。過去10年間ほ乳類細胞のガラクトース転移酵素は糖質研究者の興味の中心であり遺伝子の発見と酵素反応機構の解明に焦点がおかれてきた。1999年にウシβ4GalT1の触媒ドメインの結晶構造解析の結果が分解能2.4Åで初めて明らかになった。この研究は、原子レベルでの立体構造に着目することにより酵素的性質を解釈し反応機構を理解することをめざす、糖転移酵素の構造的研究の新展開の幕開けとなった。この総説では糖転移酵素のファミリーの流れの中でガラクトース転移酵素の構造ー機能相関の現状をとりあげる。2つのウシガラクトース転移酵素、β4GalT1, α3GalT、の触媒ドメインの結晶構造と反応機構を考察する。