Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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N-グリカンのシャペロン様タンパク質立体構造形成および立体構造安定化機能
Haruki Yamaguchi
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2002 年 14 巻 77 号 p. 139-151

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抄録

N-グリカンの持つ分子シャペロン様機能について、主として in vitro での研究によって明らかにされてきた機能と構造との関係を中心に記述した。高マンノース型N-グリカン、特に比較的サイズの大きなものは、主としてタンパク質のフォールディングとオリゴマー構造形成を直接促進し、またタンパク質立体構造の安定化にも機能している。一方複合型N-グリカンは、タンパク立体構造を不安定化する要因であるタンパク質分子表面の疎水性領域と疎水性相互作用することにより、タンパク質の活性立体構造安定化の強い要求に応えている。これらの機能の作用機構が解明されるにつれて、N-グリカンとタンパク質との相互作用を十分に理解することが、医科学やタンパク質工学の堅実な発展に不可欠であることが一層明らかになってきた。最後に、ごく大切なことだが、高マンノース型N-グリカンが小胞体での新生タンパク質のフォールディングを直接促進する機能を担っている可能性を、今日広く受け入れられているカルネキシンとカルレティキュリンのシャペロン機能と関連させて論じている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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