Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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糖蛋白のアスパラギン結合型糖鎖生合成の調節
Adina KAIDENSharon S. KRAG西川 義尚
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1991 年 3 巻 12 号 p. 275-287

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抄録
真核細胞では糖蛋白は蛋白の1個から10個の特別のアスパラギン残基に、多数の、成熟したオリゴ糖構造を持つことができる。これらの異なった構造の生合成はポリイソプレノールを脂質キャリアーとする共通の過程から開始される。脂質キャリアーから新生された蛋白へのオリゴ糖の転移に先立って開始する、この共通の生合成過程が、このミニレビューの主題である。全般的なN-グリコシル化の過程そのものの調節機構と同様に、特別な酵素反応と脂質キャリアーであるドリコールリン酸の生合成およびGlc3Man9GlcNAc2-P-P-ドリコールのアセンブリーに関わる諸反応の調節について議論する。ドリコールは、αのイソブレン基が飽和した、17-21個のイソプレン基らなる異性体のファミリーである。すべての細胞は、酢酸に始まりファルネシルピロリン酸まではコレステロール生合成経路と共通の経路でドリコールを合成する。ファルネシルピロリン酸から先は、シスポリプレニルトランスフェラーゼ、ポリプレノールレダクターゼ、そして、ピロホスファターゼが働いてドリコールリン酸を合成する。ドリコールリン酸は、オリゴ糖-リピド生合成過程において、重要な中間産物であって、3つの酵素の基質として働いている他、少なくとも4つの反応の産物である。ドリコールリン酸類間の多数の相互変換について、このレビューでは説明する。最後に、組織と培養細胞におけるこの経路の調節の相違について、議論する。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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