Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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細胞表面のレセプター分子として働くガラクトース転移酵素
Helen J. HATHAWAYBruce S. BABIARZ浅田 真弘
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1991 年 3 巻 14 号 p. 414-421

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抄録

胚発生は多くの異なるタイプの細胞が正確に移動し秩序だった構造体を作ることによってはじめて可能となる。細胞表面のレセプターは細胞が細胞外マトリックスと結合する際の結合手として機能し、接着のシグナルが細胞膜を通して細胞内に伝えられて初めて細胞は分化する。細胞表面に存在するβ1, 4ガラクトース転移酵素は、受精や、初期発生で見られる細胞と細胞、細胞と細胞外マトリックスの相互作用など、種々の細胞間接着においてレセプターとして機能している。特に細胞が移動する時には、この酵素はラミニンのE8断片にあるアスパラギン結合型糖鎖と結合してその機能を発現する。In vivo でも、細胞表面のガラクトース転移酵素は基底膜を構成するラミニンと相互作用し、神経冠細胞の移動や神経胚の形成に関与している。さらに哺乳類の初期胚発生においても、この酵素はコンパクションの起きた桑実胚や胎盤形成で見られる細胞間接着に関与している。細胞表面のガラクトース転移酵素が形態形成に果たす役割をより詳細に解明するため、我々は in vitro あるいは in vivo で酵素の機能を変える抗体や試薬を用いて研究を進めている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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