Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ニューロンにおけるガングリオシドの機能
Robert W. LedeenGusheng Wu脇 初枝安藤 進
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1992 年 4 巻 16 号 p. 174-187

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抄録
ガングリオシドはニューロンに最も多く存在し、細胞膜の主要なシアル酸含有複合糖質である。ガングリオシドは1個か数個のシアル酸をもち、広範な分子種で数種類のグループに分類される。ガングリオテトラオース系は成熟ニューロンのガングリオシドの主要な成分をなしている。この系列のものは神経突起伸展やシナプス形成時に発現して、細胞分化の前に存在するより単純な分子種と置き換わる。ガングリオシドは主としてある種の酵素、受容体、イオンチャネル、細胞接着分子などの膜タンパク質の機能調節因子であることがこれまでの研究から示唆されている。最近の例としては興奮性才ピオイド受容体があり、GM1によって特異的に活性化される。ほかの多くの受容体が色々なガングリオシドと相互作用をして、促進的に、あるいは抑制的に調節を受けることが明らかにされてきている。細胞膜のカルシウム輸送はGM1によって両方向性に調節を受け、GM1による神経栄養因子効果のあるものはそのような活性によって説明される。神経突起形成、線維束形成、突起伸展阻止のような顕著な形態変化が、ガングリオシドを添加したり、内因性ガングリオシドに影響をおよほす薬剤を加えたりする in vitro の系で観察される。薬剤として投与されたガングリオシドによる神経栄養因子効果も in vivo で見られるが、それはまた異なる機構によるもののようである。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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