抄録
複数のロータを備えそれぞれの回転数やコレクティブピッチ角の変更によって飛行を制御するマルチロータ型航空機の普及は目覚ましく,空撮や災害救助など様々な分野で広く応用されている。本研究では,このようなマルチロータ型航空機の最適設計手法として,構造パラメータと制御器の準同時最適化手法を提案する。最適化の評価関数として,本研究ではシステムの平衡点周りに存在する安定領域である吸引領域のサイズを用いる。吸引領域サイズが最大化する構造パラメータの値と制御器を探索することで,マルチロータ型航空機に対する構造・制御の両面からの最適設計が可能となる。本稿では吸引領域の可視化にも取り組み,得られた機体が元機体と比較してより大きな平衡点からの逸脱に対応可能であることも示す。