抄録
近年,活躍の場を広げているドローンは,複数台を編隊飛行させることで作業効率が上昇し,使用用途がさらに拡大することが期待できる。しかしながら,複数台の飛行によって発生する気流の影響により,衝突する危険性が増してくる。そこで本研究では,編隊飛行しているドローン同士が互いに衝突することなく,安定に飛行する条件を明らかにするため,2台のドローンまわりの流体シミュレーションを実施した。その結果,2台のドローンの設置間隔とプロペラから発生する流速から算出されるレイノルズ数Reが2.0×105以上の時に,ドローン間の差圧がほぼ無くなり,引き合うことなく安定に飛行できることを確認した。また,上記のシミュレーション結果を確認する実験を,機体幅0.1 mのドローンで行い,2台のドローンの設置間隔0.4 m (Re=2.0×105)の時は安定に飛行することを確認した。さらに,設置間隔0.6 mのドローンを4台編隊飛行させて,室内での網掛け作業への応用を行った。その結果,ドローンの移動と旋回制御を組み合わせることで,高さ0.9 mの木の模型の上に,網をリリースする作業ができることを確認した。