Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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寄生虫病薬の7年間の治験成績の検討
稀用薬の入手緩和を求めて
田辺 清勝尾辻 義人中林 敏夫大友 弘士田中 寛
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1989 年 17 巻 3 号 p. 229-236

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抄録

昭和55 (1980) 年に発足した厚生省「輸入熱帯病の治療薬に関する研究」班では, 寄生虫病の治療に稀用される薬剤の入手緩和を計ることを検討してきた。わが国の薬事で承認されていない寄生虫薬で, 海外においては一部で既に使用されている16種の薬剤, すなわちファンシダール, クロロキン, プリマキン, キニーネ (注射液), ファンシメフの抗マラリア薬とそれ以外のミンテゾール, メベンダゾール, プラジカンテル, ペンダミジン (注射液), アテブリン, デヒドロエメチン (注射液), ペントスタム (注射液), スラミン, スチィボフェン, ランピット, ピリメタミンを選定して輸入し, 治験用に供給して臨床試験を実施してきた。昭和56 (1981) から62 (1987) 年までの7年間に, 920症例 (マラリア患者では2種以上の治験薬が投与されても1症例として集計した) に薬剤を配布してきた。症例の内訳は201例 (22%) がマラリア患者で, マラリア以外の投薬症例数はメベンダゾールが210例, プラジカンテル163例, アテブリン125例, ミンテゾール120例, ペンタミジン67例, デヒドロエメチン28例, ペントスタム5例, スラミン1例である。このうち治療カードの回収できた症例について, 有効性と副作用を検討して概略をまとめた。なお, 今日ではファンシダール, ミンテゾール, メベンダゾール, プラジカンテル, ペンタニジンの承認が済んでいる。

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