抄録
1978年9月にパプア;ニューギニアのポートモレスビーにおいてパプア;ニューギニア人の成人男子11名及び西宮市において日本人成人男子15名について28C, 湿度70%の室内にて水泳パンツのみを着用させ, 安静座位における口内温と全身10カ所の皮膚温を測定して次のような結果を得た。
口内温は両群とも37.2Cであった。パプア;ニューギニア人の平均皮膚温は34.4Cで日本人の平均値34.9Cよりかなり低く, 従ってパプア;ニューギニア人の口内温と平均皮膚温の差は日本人のそれより大きく, 中和温域においては, パプア;ニューギニア人の身体の熱貫流率は日本人のそれより小さかった。パプア;ニューギニア人の四肢の皮膚温は日本人のそれより有意差をもって低かった。その結果としてパプア;ニューギニア人の皮膚温の部位別の差は日本人のそれよりかなり大きく, 環境温がさらに上昇したとき, パプア;ニューギニア人の四肢の皮膚温上昇は日本人より容易で, 皮膚温調節による放熱量の調節能力が優れていることが推定された。