抄録
本研究の目的は「足趾力」・「下肢力」と「バランス感覚」との関連性について分析し,転倒予防対策につながる看護アセスメントツールの新たな観察の指標を得ることである。本研究は平成25年11月~平成26年7月の調査期間において,立位歩行に支障がない健常ボランティア80名を対象とした。筋力評価として大腿四頭筋・ハムストリング・前脛骨筋・下腿三頭筋・長母趾伸筋・長母趾屈筋のmanual muscle test(MMT)を評価した。足趾力は挟力・握力・じゃんけん動作・10秒テストを評価し,下肢力は開眼片脚起立時間・3m歩行着座時間を測定した。動的バランス感覚の測定には測定機能付自力運動訓練装置を用いて,不安定な支持面上での姿勢制御能力の測定を立位と座位で行った。その結果,足趾力については立位における総角度変動指数と足趾挟力が関連していることが示唆された。しかし座位では足趾握力と相関があり,バランスを保つ際には立位と座位では異なることがわかった。一方,下肢力では3m歩行着座時間とバランス感覚との関連性が示された。