Toyama Medical Journal
Online ISSN : 2758-6014
Print ISSN : 2189-2466
症例報告
難治性鬱滞性皮膚潰瘍に対し逆行性不全穿通枝焼灼術を施行し治癒し得た1例
長尾 兼嗣山下 昭雄虎井 僚太郎山下 重幸関 功二芳村 直樹
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キーワード: Stasis Ulcer, Varicose vein, PAPs
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2021 年 31 巻 1 号 p. 15-19

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抄録
 症例は55歳,女性。15年以上前から鬱滞性皮膚炎に対し圧迫療法がおこなわれていたが,弾性ストッキングによる接触性皮膚炎や掻痒感のため治療コンプライアンスは不良であった。両側下腿の鬱滞性皮膚潰瘍からの出血を主訴に近医総合病院を救急受診した。圧迫により止血は得られ,原因疾患に対する加療目的に当院紹介となった。鬱滞性皮膚潰瘍に対する根治治療のため,逆行性不全穿通枝焼灼術を施行し8か月の経過で潰瘍の改善を得た。鬱滞性皮膚潰瘍に対する古典的な外科手術は侵襲が大きく,術後の創傷治癒遅延などが問題となる。一方,圧迫療法のみで改善する症例もあるが,治療期間が長いことや圧迫に伴う皮膚トラブルや疼痛のために,治療コンプライアンスが損なわれることが問題である。今回我々は下肢静脈瘤レーザー焼灼術の手技を応用し,より簡便な手技で静脈鬱滞を制御し,合併症なく良好な潰瘍を軽快させることができたので報告する。
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© 2020 富山大学医学会
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