Toyama Medical Journal
Online ISSN : 2758-6014
Print ISSN : 2189-2466
CASE REPORT
運転中の複視を主訴に受診した硬膜動静脈瘻の一例
北 啓一朗
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2022 年 32 巻 1 号 p. 35-36

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抄録
 65歳の女性が運転中の複視を主訴に当科を受診した。当科受診前にA病院救急外来,B眼科クリニック,C病院脳神経内科を受診しており,頭部CT,眼科的診察,頭部MRI検査を受けたがいずれも異常は指摘されなかった。症例は運転中の複視の他にシャワー浴の際に左目奥の拍動性疼痛を経験していた。フレンツェル眼鏡を用いた身体診察では左眼の外転制限,左瞳孔の軽度拡大,対光反射の低下を認めた。頭部MRI/MRAでは左海綿静脈洞に異常な強度を示し,左上眼静脈のわずかな拡張を認めたことより硬膜動静脈瘻と診断した。本例の場合,運転中の複視は遠方視で悪化する外転障害を示唆し,シャワーの頭痛は前屈姿勢に伴う海綿静脈洞の鬱血によるものと考えられた。通常眼振の評価に用いるフレンツェル眼鏡はわずかな眼球運動障害の検出にも有効であった。
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© 2021 富山大学医学会
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