Toyama Medical Journal
Online ISSN : 2758-6014
Print ISSN : 2189-2466
症例報告
COVID-19流行期がために診断に苦慮した中咽頭癌症例について
中里 瑛朝日 香織将積 日出夫
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 33 巻 1 号 p. 51-55

詳細
抄録

 COVID19流行期における咽頭疾患への対応は耳鼻咽喉科医として大変苦慮するところである。当科では咽頭内視鏡検査の際には,日本耳鼻咽喉科学会や英国耳鼻咽喉科学会が推奨する感染対策に従い,診察医はFull-PPE対応,患者はサージカルマスク着用しつつ鼻腔のみを出して経鼻からのチェックをおこなっていた。この方法は咽頭刺激による咳反射で発生するエアロゾルが飛散しにくく,鼻腔から上・中・下咽頭や喉頭を観察できる有用な方法である。しかし,この方法で施行した内視鏡検査や頸部針細胞診では悪性所見を発見できず,サージカルマスクを外して経口で施行した内視鏡検査や口蓋扁桃を触診することではじめて中咽頭癌の頸部リンパ節転移と診断することができた頸部のう胞性腫瘤の症例を経験した。この症例の診断には約3カ月を要してしまった。このことからCOVID19流行期においても状況に応じて経口からの内視鏡観察をおこなう必要性があることを反省の意味を込め報告する。

著者関連情報
© 2023 富山大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top