東京都看護協会学術誌
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A地区における医療及び、看護・介護・福祉の連携における実態調査
平田 真由美
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2025 年 3 巻 p. 9-16

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抄録
【目的】A地区で活動する医療・看護・介護・福祉に従事する職種の連携状態を調査し、課題を明らかにする。 【方法】地区の施設に勤務する医療・看護・介護・福祉従事者を対象に「医療介護福祉の地域連携尺度」を用いたWebアンケート調査を2023年1月10日から24日まで実施した。得られたデータ分析は、各尺度得点の平均値と標準偏差で評価し、現状把握した。地域連携の全般的評価と多施設多職種の参加回数を3群に分け地域連携尺度の合計得点、各尺度得点を一元配置分散分析し、多重比較はTukey-KramerのHSD検定で検証した。地域サポート数と経験年数を2群に分けWilcoxon順位和検定で検証した。 【結果】241人の回答内容を分析対象とした。地域連携尺度の得点が低い因子は順番に、「地域の関係者の名前と顔・考えがわかる(2.9± 1.0 点)」「地域の多職種で会ったり話し合う機会がある(3.0 ± 1.1 点)、「地域に相談できるネットワークがある(3.4± 1.1点)」であり、地区の課題が抽出された。先行研究同様、地域連携の全般的評価の『とても良い』『どちらかといえば良い』『悪い』の3群の地域連携尺度の合計得点(p<.001)で関連が認められた。多施設多職種対象の参加回数『0~1回』『2~5回』『6回以上』の3群の地域連携尺度の合計得点(p<.001)で関連が認められた。地域サポート数が5人以上の群の合計得点(p=.003)や、臨床経験年数が10年以上の群の合計得点(p=.046)で関連が見られた。 【結論】A地区の地域連携における課題は、関係者同士の名前や顔・考えの把握が不十分で、多職種が交流する機会が少なく、相談できるネットワークが十分でないことであった。以上のことから地域連携の向上には、多職種が気軽にやり取りができる持続可能な交流の場を提供し、情報共有できる地域ネットワークを強化することが重要である。
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