豊田工業高等専門学校研究紀要
Online ISSN : 2424-2276
Print ISSN : 0286-2603
ISSN-L : 0286-2603
物質中のニュートリノ振動における時間反転対称性の破れの増幅
横枕 英和木村 恵一高村 明
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 35 巻 p. 325-332

詳細
抄録

3世代のニュートリノ振動において物質効果による T の破れの大きさを評価する。T の破れの大きさは J_m(物質中の lepton sector における Jarlskog factor)に比例している。そして,最近物質中で J_m の振る舞いを決める手助けをする (Δ_m)_<12>(Δ_m)_<23>(Δ_m)_<31>J_m=Δ_<12>Δ_<23>Δ_<31>J という elegant な関係が導かれている。そこでこの関係式を使って J_m が物質効果でどれだけ変化を受けるかを |Δ_<12>|≪|Δ_<13>| のもとに調べる。考察の結果,以下のようになった。(1) 物質中で J_m が増大する場所の数は sin^22θ_<13> の大きさに依存しており,CHOOZ の実験結果を考慮すると極大値は2つあり,a=O(Δ_<12>) と a=O(Δ_<13>) でとる。但し a は物質のポテンシャルで,Δ_<ij>=Δm^2_<ij>/(2E) ある。(2) a=O(Δ_<12>) の時の真空中の値 J との比は J_m/J=1/sin2θ_<12> である。small mixing angle MSW solution の場合は enhancement がおきる。(3) a=O(Δ_<13>) の時は J_m/J=(1/sin2θ_<13>)|Δ_<12>/Δ_<13>| となり sin2θ_<13> が十分小さければ enhancement がおこる。

著者関連情報
© 2002 豊田工業高等専門学校
前の記事 次の記事
feedback
Top