2005 年 38 巻 p. 77-82
本稿では、都市空間を乗用車で移動して撮影した実写映像を用いて、我々がどのように建築物の位置を認知・把握していくのかを分析・考察した。結果は、以下のようにまとめられる。1)映像による空間体験は距離感や建築物の特徴が掴みにくい等、認知・把握に関する制約が多い。しかし、被験者は通常よりも目的意識的な学習を重ねることによって、認知・把握精度が高まっていった。2)建築物の位量認知には、その建築的特徴に加え、道路構成、看板等の手がかりとなりうる情報等が現実場面よりも一層大きく影響すると推察できた。